生体防御学分野では、生物に本来備わる「防御のしくみ」を研究し、健康に生きる術を探していきます。生体防御とは病原微生物への防御にはとどまりません。環境の変化や様々なストレスを含む「未知の何か」に遭遇したとき、生物はどのような能力をもって、それに対処し克服していくのか、そのしくみを私たちは広い意味での「生体防御」と捉えています。現存する生物たちは、何かしらの「防御のしくみ」を発達させてここまで生き延びてきているはずです。その能力を見いだしていくことが講座の使命であると考えています。
一般には、「薬学部は薬について研究するところ」と、思われています。私たちの研究室では、健康でいられるように働いている「防御のしくみ」をまず明らかにすることに主眼をおいていますので、薬とは関係ないのでは?と思われるかもしれません。実は「防御のしくみ」によって、薬は異物や有害物質とみなされて、生体から排除されてしまうことがあります。「防御のしくみ」を明らかにしていくことは、薬をどのようにして効果的に体に送り届けるか、にも関わってくる研究なのです。