2018年11月16日
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スポット薬学講座 No. 6 分子細胞薬理学講座

我々は現在、農林水産省の研究費により岩手生物工学研究センターの山田秀俊主任研究員を代表として三陸沿岸で獲れるイサダの付加価値を高めるための研究を行っており、イサダを原料とした新規機能性素材の開発に着手しています。オキアミであるイサダには、ω3系脂肪酸であるEPAやDHAはもちろんのこと、ホスファチジルコリンなどのリン脂質も含まれており、これらリン脂質には、EPAやDHAと結合することによって生体の脳をはじめとする色々な臓器組織に効率的にEPAやDHAを送り届ける効果があります。またリン脂質自身にも抗動脈硬化作用や認知症予防作用が認められています。このほかオキアミの赤い部分にあるアスタキサンチンには抗酸化作用があり、ビタミンEの約1000倍の効力があると言われています。さらに、今回の我々の研究から、イサダにはEPAから産生される8-ヒドロキシエイコサペンタエン酸(8-HEPE)が含まれていることが見出されています。この8-HEPEには、高脂血症改善効果がEPAの約10倍程度あること、また糖尿病改善効果については、EPAの約5倍程度もある可能性が指摘されています。さらに肥満改善作用も、EPAの約5倍程度ある可能性があります。興味あることに、この8-HEPEの含有量は、他の南極オキアミなどと比較してもイサダにおいてその含有量が多いことがわかっています。我々は、高脂肪食摂取肥満マウスを用いて8-HEPEの効果について検討していますが、8-HEPEの摂取は血中の中性脂肪量を低下させること、また肝臓の脂肪燃焼効果及び肝保護効果を高める可能性があること、脂肪重量を減少させ脂肪細胞を小さくさせることを突き止めています。さらに、高脂肪食摂取肥満マウスに対するイサダ由来8-HEPEを含んだ新規機能性素材の効果についても検討しています。その中では、8-HEPEを含んだ新規機能性素材は、高脂肪食摂取による内臓脂肪増加を改善することがわかりました。このことより、イサダ由来8-HEPE含有新規機能性素材は、内臓脂肪量抑制効果によりメタボリックシンドローム発症予防に貢献できる可能性があり、8-HEPE含有量の増加によってその効果が増強されることも期待されます。さらに、8-HEPEがEPAと比較して効力が高いことを考慮すると、高い抗動脈硬化作用や抗糖尿病作用を示すことが期待されます。研究のさらなる発展によりイサダからの新規機能性食品の開発につなげたいと考えています。